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攻略情報コラム

かなり迷ったが分けてしまうと少々書きにくいので一括して説明をば。

敵の目を欺く透明化と幻影能力
残念ながらこの能力を重視する人はあまり居ない。 極論してしまえば無くても別に支障がないという訳で、軽視したところで問題は全くないとも言えるだろう。
しかしながらちょっと使ってみただけで「敵が時々攻撃を外すだけでしょ?」とか 「透明になると店に入れなくなるから超面倒」とか「幻影のクロークってMC2だしぃ〜」とか、(この情報サイト内でさえ!)いかんせん半可通な感想が横行しがちである。

ブーメラン愛好家を自認する筆者としては、このように「十分使いでがあるにもかかわらず、分かりにくさと微妙な仕様のため冷遇されている」能力についてただ放置するのは忍びない。
というわけでこの二者の特徴や相違点をここに書くことにした。

透明化。

この能力を持っていると、目に見えて具体的な効果としては、透明視能力を持たない敵が こちらの位置を(1マス分だけ)取り違えて攻撃を失敗することがある。命中率自体もわずかながら下がる。
しかし、実はそんな効果はほとんど「おまけ」と言っていい程度のものでしかない。

攻撃されてそれを回避すること以前に、透明化の最大の要点は「敵から追跡されにくくなる」 という所にある。
広い場所で普段なら集団で一度に襲ってくる相手を各個撃破したり、自分よりも多少素早い敵との戦闘から 離脱することさえ可能になるのだ。もちろん過信すると死を招く結果につながるが。
あまり多くの敵と一度に戦う力のない職業や、敵から気付かれずに行動したい場面などでは非常に有用である。 とりわけ序盤では重宝するだろう。

例えば透明化したエルフの王レプラコーンが、透明視テレパシーがない状態ではいかに厄介か 思い知らされたことのある人も多いだろう。一方で集団で現れる丘のオークの中の一人が透明化したところで そこに居ることは明らかだし、通路に誘い込んで戦えば別段どうという事はない…つまりはそういう事だ。

確かに、多少の副作用もある。
敵をわざと集めて殲滅するには邪魔な能力だし、そのままだと普通の手段では店に入れてもらえなくなる。
後半戦になると敵から逃げる必要性が低くなり、また透明であってもお構いなしに攻撃してくる相手が多くなるためこの能力の有用性がだいぶ下がってくることは事実だ。
それでもゲームの最終局面など、鬱陶しい連中が大挙して攻めてくる場面では何らかの足しになるかもしれないし、 後半は店を利用する機会もまず無いだろうから副作用の心配も要らないだろう。

ところでRoguelikeの一つである、"Dungeon Crawl"をやったことのある人ならばこうした「透明化」の 能力のありがたみ(と、ついでに強烈な副作用)のことはよく知っているかもしれない。 このゲームは一つの階層が広く、またNetHackにはあまり見られない隠密や不意討ちといった要素があるという 恩恵もあるが、それより単純にNetHackやAngbandよりも更に「1ターンの行動が生死を決める」 という状況になりやすいからだ。もちろん敵に隣接されてから使ったのでは効果半減という事も忘れてはならない。

幻影能力。

効果としては、周囲2マス以内に自分の幻影を作り出す。
効果範囲が非常に広く、積極的に虚像を見せるため透明化に比べると圧倒的な幻惑効果を持つ。
また、たとえ透明なものを見られたところで確実に幻影を見破ることのできる敵はまず居ないと思っていい。
(何故か店には普通に入れるし、僧侶クエストリーダー等も幻影に向かっては挨拶をしないのだが。)
面白いことに、他の敵がいるマスに重ねて幻影を作り出し、結果的に乱戦で同士討ちを引き起こすこともある。 とはいえ幻影は幻影でしかないので、そこそこ高い確率で先に本体の方に気付かれてしまい攻撃を受けることもあるが。
戦いが長引けば長引くほど気付かれる可能性は高くなっていくため、目に入った敵をすぐさま倒すだけの攻撃力があってこそ、その真価を発揮できる能力であるとも言えるだろう。その場から動けば再び幻惑できる可能性はあるが、過度な期待はしない方がいい。

この能力の面白い、また注意が必要な要素としては、隠密行動力そのものはかえって下がってしまうということだ。
試しに敵との位置取りに気をつけて物陰に隠れてみるといい。まわりの「幻影」のほうに気付いた敵が、そちらに向かって飛び道具などで攻撃を仕掛けてくるだろう!
この特徴は単純に欠点という訳ではなく、その場の敵と戦うだけの十分な能力があれば特に、危険を察知するのに役立つことがある。 暗闇から矢弾が飛んできたりすることもよくあるし、場合によっては炎や稲妻の閃光が飛んでくることさえある。 致死的な攻撃をそこそこ高い確率で目視した上で回避できるというのは反射や毒耐性の無い序盤〜中盤戦にかけては特に有益である。 あとはそこからすぐに離脱するか、杖などを持った敵と直線状に立たないようにして無駄撃ちを繰り返させるか、あるいはもっと単純に、こちらも必殺の武器で倒せばよいだろう。

他にも、敵が投げつけてくる有害な薬の回収に役立つこともある。 麻痺の薬は手に入ればきわめて有用だし、他もの材料として役立つだろう。 床に落としただけですぐ割れるくせに、幻影に向かって投げつけられた薬は地面に落ちても何故か割れないのだ!

いくつか弱点もある。まず一番重大なのはこの能力を獲得する手段が「幻影のクローク」以外に存在しないこと。
幻影能力よりもまずは魔法防御と反射を優先するべきなので、手持ちの防具によってはどうにも装備しづらい事がしばしばである。また、特に魔法防御に限っていえばクエストアーティファクトのみに頼るのはゲーム終盤では非常に危険なので、この場合は例えばマジックベーン灰色ドラゴンの鱗鎧などで二重化しておく方が望ましい。
更に、このクロークの魔法無力化値が2に留まることも欠点といえば欠点である。麻痺レベルドレイン等はさして気にする必要はないにしろ、電気ウナギに掴まれたり指輪を破壊されたり、あるいは緑スライムスライム化攻撃を受けたりすることが、低確率とはいえ無視できない要素になりがちである。
(魔法無力化値が3の防具であれば、よほど不運で無い限り上記の攻撃が成功することはまず無いと思っていい…それでも十分に致命的なので用心に越したことはないが。)

また、例えばアーチリッチ等、こちらに直接隣接してくる瞬間移動を使いこなす敵に対しては、全く無駄ではないにしても効果は薄い。
それから、十分に幻影を展開できない、たとえば通路など極端に狭い場所でも効果はあまり期待できないだろう。