Linley Henzellさんの開発した、比較的新しい世代の(フリーな)Roguelikeゲームのひとつ。
NetHackと違い、C++でかかれている。

(オリジナルのRogueのように)地下の洞窟深くにあり、多くのモンスターたちに守られている「ゾットのオーブ」を持ってその洞窟から脱出するのが目的である。


指輪物語のような創作物、神話などからの直接的な引用は他のRoguelikeに比べて少なめ。そのかわり、独創的な信仰システム、多彩な種族や怪物、魔法、微妙にブラックな小ネタなどで独自の雰囲気を出している。スキルシステムや突然変異フィーチャーも見逃せない。

ゲームコンセプトやシステム等はRogueMoriaのみならず、オリジナルのRogueとほぼ同世代のテキストアドベンチャーゲームである"The Wizard's Castle"から触発されたものと思しき部分も多い。

ゲームデザインとしてはNetHackに近く、分岐がある迷宮の構造や物資の有限性が共通していて、運の要素も強いといえる。
プレイヤーは「ゾットの領域」に入るために「ルーン」を3つ以上集める必要があるが、それを守る敵が尋常な数ではない。そのため、Angbandばりに多数の戦闘をこなすことになる。また手持ちのアイテムで切り抜けるためにプレイヤーの技術が要求されることは前者2つ以上であり、スリリングな展開が期待できる。
なお、他のゲームのクエストのようなイベントは全く無く、ストーリーと言えるものは存在しない。神への信仰を深めることでやる気を鼓舞したり、並み居る敵をスマートに (ときにちまちまと) なぎ倒すことこそ醍醐味といえる。

本来の目的であるオーブ奪取に飽き足らなくなった人は、普通なら行く必要の無い分岐の制覇や「ランダムアーティファクト収集*1」「ルーン全奪取」などといった遊び方も可能だ。

また有志によって製作されたタイルは、初見で直感的にプレイできるほど優れている。そのためRoguelikeの中では珍しくタイル版でのプレイが主流となっている。他の理由として、NethackerにとってCrawlではアルファベットの割り当てに違和感があるからではないだろうか。また、プレイ画面は@を中心に視界の範囲のみ表示、広大なフロア全体はミニマップというシステムが、Roguelikeでは困難な大きくて見やすいタイルを実現したといえるだろう。

ゲーム全体の完成度はNetHackやAngbandに劣るところはないと思われる(多少のとっつきにくさはあるかもしれないが)。


Crawlは開発を終了しているが、ファンの一部がヴァリアントとしてDungeon Crawl Stone Soupを製作・改良し続けている。ゲームバランスが大幅に変わり、分岐や特殊部屋などが追加された*2 。(2013年12月現在) 日本語版もリリースされ、翻訳が進められている。


なお、このゲームタイトル自体が比較的ありふれた語であり、他のゲームの名前やらどこぞのソフト屋さんの名前やらと混同することが無きにしも非ずといったところなので、"Linley's Dungeon Crawl"と呼ばれることも多い。

リンク


Linley's Dungeon Crawl 関連


DCSS関連


Dungeon Crawl Stone Soup の記事を参照