ascension

 イェンダーの魔除けを神の元へ持ち帰る使命を完遂すること。

 以下、ネタバレ風味につき色伏せ。昇天未体験の方はココをクリック。

問題提起コラム:昇天

 体験済みの方はご存知の通り、唯一無二のハッピーエンドである。

 しかし、だからといって特別な演出があるわけでもなく、エンディングクレジットが流れるわけでもなく、その旨を告げるメッセージの後に「識別しますか?」となるわけだ。

 感慨はさておき、死亡や#Quitと大差があるわけでもなく、昇天とは言っても数あるゲームオーバーの内の一つに過ぎないのだろう。ことによっては墓石スクリーンがある分、死亡の方が凝ったゲームオーバーという印象すら受けかねない。

 昇天はハッピーエンドではあるが、ゲームクリアと呼ぶには相応しくない不思議な点がありはしないだろうか。

 ミュルニールブーメランで敵を薙ぎ倒し、昇天を達成したらNetHackというゲームはクリアしたと言えるだろうか? いや、そうではあるまい。魔法使いならどう戦う? はたまた観光客などであった日にはどうやって生き延びれば……?

 さらにNetHackの魅力は昇天だけに尽きない。例えばあなたは厳格な菜食主義を貫けるだろうか? 5桁という凄まじいHPを信じられるだろうか? 麒麟に乗ることを許された? 罠にかかったコカトリスを助けようとして石化した? 何種類のTシャツを知っている? 燃えないろうそく? トロルを堀に投げ入れる? ヴァリアントは? 他のRoguelikeは……?

 考えるほどにNetHackにおいての「クリア」という概念は形を失ってしまう。いったい真の終わりはどこにあるのか? ――この問題にぶつかったあなたは、もしかしたら既にゲヘナの住人に――はたまた運命の大迷宮の一部(!)になってしまっているのかもしれない。

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